多重下請け化するWEB制作のビジネスモデル

今回は、中山匡先生の「失敗をゼロにする 起業のバイブル」で説明されている「7つの事業フォーマット」を用いて、WEB制作会社のビジネスモデルを分析し、多重下請け構造がどのようになっているかを見てみたいと思います。

直受けタイプの「自家発電型フォーマット」

これから紹介する図では、中央がWEB制作会社、左側の人物がそのWEB施策会社の「顧客」を表しています。

上図は、左側の顧客が自社のホームページを作る際、社内で作る能力(スキルや時間)がないため、中央のWEB制作会社にホームページ制作をアウトソーシングするという想定での、サービス全体の流れです。

顧客から依頼を受けた中央のWEB制作会社は、社内に以下のスキルをもった人材が揃っています。

  • プロデューサー
  • ディレクター
  • ライター
  • デザイナー
  • コーダー
  • エンジニア

これらのリソースを活用することで、ホームページ制作を社内だけで完結することができます。

この型におけるサービスとキャッシュポイントの流れを以下の図に示します。とてもシンプルな流れとなることがわかります。

この時、自社ですべて完結していること(自家発電型)から、顧客からいただく料金も、100%得ることができます。

一方で、社内リソースをフル活用するため、多数の案件を同時に処理できないことが難点です。このモデルで受注が増えた場合、自社だけではまかないきれないため、次の「元請け―下請けタイプ」へと移ることになります。

元請け×下請けタイプの「プロデュース型フォーマット」

能力モデルで仕事があふれ出すと、社内のリソースだけでは足りなくなり、以下の図のように外部(下請け)の力を借りることになります。

この時の役割分担としては、WEBプロデュースやディレクションといった「管理」にあたる役割は自社で行い、ライティングやコーディング、イラスト作成などの「作業」の部分を、それを得意とする他者(下請け)の能力に任せることになります。

元請け

  • プロデューサー
  • ディレクター

下請け

  • ライター
  • デザイナー
  • コーダー
  • エンジニア

この分類の仕方では、下請けの方は4つの役割を持っています。

本来なら4名の下請けクリエイターを割り当てるべきですが、元請け会社は仕入れ額を抑えるため1人あるいは2人までのクリエイターで完結できるような編成を考えます。

ここで能力モデルのような形で、サービスとキャッシュポイントの図を描くと、次のようになります。

顧客からWEB制作会社に仮に100万円入ってきたとします。次にWEB制作会社から下請けクリエイターに対する報酬は30~40万円程度、中には20万円となる場合もあるようです。

この収益配分を考えてみます。

ホームページ1つ立ち上げるのに仮に一か月かかるとすると、WEB制作会社はプロデューサーとディレクターの二人分の人件費と諸経費、そして利益分を考慮する必要があります。そこから差し引かれた残りの金額が外注費として割り出されます。

売上を100万円と考える場合、WEB制作会社はプロデューサーとディレクターを兼任させる形で一人分の人件費と諸経費、そして利益分を算出し、60~80万円。残りの外注費を20~40万円に配分すると考えられます。

下請けクリエイターは仮に30万円得られたとします。独身であれば、十分生活していけるかもしれませんが、老後のことを考えるとやはり厳しいでしょう。ましてご家族がいる場合、養育費もかかってきますので、夫婦共稼ぎでなんとかやっていくということになると思います。

いずれにしても月30万円では低すぎるため、下請けクリエイターはもっと受注案件を得て、報酬を増やすことを考えます。ただ、下請けクリエイターは「自家発電型事業フォーマット」のため、増やすためには、自分の作業を手伝ってくれるような外部クリエイターを探します。そこでとられるのが、次の「パッケージングモデル型事業フォーマット」です。

元請け×下請け×孫請けタイプの「プロデュース型事業フォーマット」&「パッケージング型事業フォーマット」

受注案件が増えてきた元請けが、下請けクリエイターを活用するように、下請けクリエイターは孫請けクリエイターを探し出し、制作フローに取り込んだ図が、以下のようになります。

ここで注目すべきは、下請けクリエイターが複数の孫請けクリエイターを管理しているということです。

元請けが一人から二人の下請けクリエイターに業務委託しようとしていたのに対し(プロデュース型事業フォーマット)、下請けクリエイターは自分が受けた一部の機能を孫請けクリエイターに切り分け、配分する形(パッケージング型事業フォーマット)をとります。

この時の役割分担は以下のようになります。

元請け

  • プロデューサー
  • ディレクター

下請け

  • ディレクター(兼サポーター)

孫請け

  • ライター
  • デザイナー
  • コーダー
  • エンジニア

では収益配分はどのようになるのでしょうか。同じようにサービスの流れとキャッシュポイントを描くと、以下のような図になります。

顧客からWEB制作会社に入った100万円は、下請けクリエイターの段階で2~4割程度の金額、すなわち20~40万円になります。そうなると、孫請けクリエイターへはさらに2~4割程度、つまり4~14万円になるわけです。

本来なら下請けクリエイターが受注したホームページ案件を、孫請けクリエイター1人に任せることができれば良いのですが、さすがに4万円で請けてくれるクリエイターはいません。

そこで、作業を細分化することで、単価を下げ、下請けクリエイターは元請けからの報酬を分配します。それにより、下請けクリエイターは複数の孫請けクリエイターを管理する立場になり、多重下請け構造ができあがります。

なお、この例では孫請けまで説明しましたが、ひ孫請け、ひひ孫請けまであるようです。

自分自身の経験では、クラウドソーシングにて1記事500文字で100円というライティング案件を受けたことがあります。その時の自分が、価格的にひひ孫請けだったのではないかという気がしています。

参考図書:

中山 匡(著)
失敗をゼロにする 起業のバイブル(かんき出版)