クリエイターが独立・起業するときのビジネスモデル

今回はWEB制作会社でサラリーマンとして働いていたクリエイターが、どのように起業しているのかを見てみたいと思います。

トップクリエイターと呼ばれる人たちのプロフィールを見ても、大抵は前職がどこかの企業に所属しており、大学を出た直後から一匹狼のクリエイターとしてバリバリ活動しているという方は、あまりお見かけしません。

サラリーマン時代に業務の流れや先輩の仕事っぷり、さらに業界の雰囲気を身をもって知り、さらにビジネスマナーを身に着けた後で独立するのが一般的のようです。

そんな風に独立したクリエイターのビジネスモデルにおいて、サービスやお金の流れはどうなっているのかを見てみましょう。

自分のPCスキルを活かした「自家発電型フォーマット」

クリエイターは特に資格など必要ありません。基本的にソフトウェアのスキルがあれば、老若男女問わず、誰でも起業できます。

DTP中心だった頃、クリエイターの独立には、資金面のハードルがありました。今は10万円出せばそこそこのパソコンが買えますが、そのころのパソコンは20万~40万円、さらにプロ用アプリケーション(画像加工、イラスト作成、DTPの三種類)、印刷に適したモリサワフォント、そしてPostScript対応のプリンターを揃える必要があったのです。そのため、独立するには100~150万円の資金が必要でした。

今はDTPよりもホームページ制作で独立する方がお手軽です。例えばホームページ制作を事業の中心として独立する場合、パソコンとインターネット、Wordpressのスキルと画像・イラスト編集ソフトさえあれば環境が整うので、初期投資がかなり抑えられます。

ここで、Wordpressを使ったホームページ屋さんとして起業する場合のサービスの流れを見てみましょう。

中央の緑色の人物が独立したクリエイター自身を表し、クリエイターの業務の範囲は緑色の点線になります。

制作会社で培ったWordpressのオペレーションや、挿入する画像・イラスト作成のスキルを活かし、Wordpressを使ったホームページ制作パックを開発します。そして、自分たちではホームページが作れない企業に向けて、コーポレートサイト制作サービスを提供します。顧客にしてみれば、ホームページ制作のアウトソーシングとなりますね。

この時のサービスとお金の流れは次の通りです。

顧客にサービスを提供し、料金をいただくという、とてもシンプルな流れになります。小売りと違って商品の仕入れがほとんど必要ないため、顧客からいただく料金を100%手にすることができます。

多くの顧客を見つけ、自分自身が頑張れば、収益は確実に上がると言えます。

サラリーマン時代の会社との関係で、初年度から安定

このような形で独立・起業する場合、クリエイターの最初の顧客は、サラリーマン時代の制作会社からの紹介が多いようです。

中には喧嘩別れをし、自ら新規で開拓している逞しいクリエイターの方もいるようですが、ほとんどの場合は、会社から独立が決まると、社長や上司から、自分の担当企業に口利きしてもらったり、あるいはその制作会社の下請け外注として、業務委託をするといった感じです。

これまでのスキルを活かしながら、朝の通勤ラッシュを間逃れることもでき、独立して最初の一ヶ月目から売上を上げることができます。

喧嘩別れした人は、集客や営業というスキルを身に着けて行かなければならないので、サラリーマン時代にいかに会社とうまくやっていくかが、スタート時点での鍵になると言えます。

新規開拓しなければ、いずれ廃業・再就職

ところが、このように起業したクリエイターが、三年くらいたった段階で廃業し、再び就職してしまうケースをよく見かけます。

これはクリエイターに限った話ではありません。日本において、新たに会社を起こしたとすると、3年後に生き残っていられるのは、わずか10%と言われています。

個人でも法人でも、一番大変だけども、必ずやらなければならないのは、新規の顧客開拓ですが、独立当初から顧客がいる時点で、そういった苦労とは無縁な状態で1年目をすごします。しかし2年目あたりから顧客から仕事がこなくなり、3年目で仕事がぱったりなくなるという事態を経験します。

先ほどの例でいえば、Wordpressでコーポレートサイトを作ってあげた顧客は、最初のうちはクリエイターの方に更新作業をお願いするでしょう。しかし、何かのきっかけで社内で修正を行うと、「自分たちでもできる」という意識が芽生えます。Wordpressのマニュアルを読みながら、更新作業を覚え、すべて自社で運用を完結するように切り替わり、クリエイターへの発注はストップします。

そこでクリエイターの方は、「新しい顧客を探さなきゃ」という意識が芽生えるのですが、サラリーマン時代から、そもそも新規開拓の経験もないので、やり方すらわからない方がほとんどでしょう。

会社にしてみれば、のれん分けのような感じで応援してあげる気持ちもあるのかもしれませんが、 人脈依存型で独立させてしまうと、集客への意識の欠如を招きます。そういった意味では、会社と喧嘩別れして独立し、初年度から新規開拓に取り組んだクリエイターの方が、3年後も生き残る確率は高いと言えるのかもしれません。

コストをかけて新規顧客開拓を

パソコンとソフトウェア、あとインターネット環境があれば、誰でも起業できてしまう仕事だと、仕入れの必要がないことから、他の業種に比べ、経費をかけるという意識が薄くなります。

自分の顧客ですら、出会うまでの苦労などなく、前の会社に紹介してもらっているのですから、新規顧客を獲得するためのハングリー精神が芽生えるのは難しいでしょう。

そのためにも、独立したらすぐに新規顧客開拓のための取り組みを始めた方が良いでしょう。自分のホームページを作り、GoogleAdwordsで宣伝するのも良いですし、自分のサービスのフライヤーを作り、交流会などで出会った人に手渡しするのも良いです。

ただ、独立一年目は業務に追われ、忙しいため、自分のホームページやチラシ作りにかける時間など作れないのも事実かと思います。

nookがおすすめしているのは、自分のホームページやフライヤー作りをクラウドソーシングなどで外部委託してみるということです。

「自家発電型フォーマット」で起業された方にその話をすると「なんで自分でできるのに、お金払って他の人にやってもらう必要があるんだ」と言われてしまうことが度々ありましたが、自分自身で外部委託の経験をしておくと、外部クリエイターのレベルや価格がわかるだけでなく、案件が増えてきた場合、そういった外部クリエイターに回すことで、「自家発電型フォーマット」から「プロデュース型フォーマット」へと移行できる機会にもつながるからです。

さらに、外部クリエイターの方との関係性ができると、今度はその方から顧客の紹介をしていただける場合もあります。

起業1年目、2年目、そして3年目のクリエイターの方は、毎日の業務が忙しいと思いますが、ご自身の事業を安定し、継続させるためにも、新規顧客開拓ということに取り組んで欲しいものです。