ボロボロの成功から見えたもの

インターネットがメディアとして地位を確立し始め、PCのOSにもブラウザーが標準で組み込まれるようになった頃の話です。

行政絡みの仕事で、活版で印刷された紙媒体をブラウザーで閲覧できるようにするプロジェクトに参加しました。

作業としては、紙面を全てテキストに起こし、XML1.0でマークアップするというものです。紙面は5000ページを超えており、四ヶ月で完了という、タイトなスケジュールでした。

プロジェクトが開始されたとたん、これは地獄だと思いました。スタッフは総勢15名。入力とマークアップ、あとはチェックという役割分担をしたものの、年末スタートでしたが、正月返上。スタッフは毎日終電、寝不足でミスが多発。みんないつも苛立っていて、部屋の隅でたまに喧嘩が起きてました。

唯一の楽しみだったのが、スタバのラテでした。たまに徹夜になったのですが、朝になると何人かで連れだって、当時珍しかったスタバに行き、ラテを飲みながらぼんやりしてました。

そんなこんなで、納期は一ヶ月遅れましたが、それでもクライアントからそれなりの評価をいただくことができ、ゴールデンウィークも無事休むことができました。また、スタッフ全員、相当な報酬を得ることができました。

ただ、終わったときには、全員ボロボロでした。不規則な生活で体を壊した人、約束をすっぽかし続けて仲間の信頼を失った人、恋人と別れた人もいたそうです(プロジェクト期間中、飼い犬が死んで一日休んだ人は、陰で叩かれていましたが)。

会社としてプロジェクトは成功したのかもしれません。しかし、その成功に携わった人たちは、人間関係や体調を犠牲にしても、お金が手に入ればハッピーエンドと言えるのか、疑問に思いました。

「価値観の違い」という言葉で片付けることができるかもしれません。ビジネスでは金がすべて、スタッフなんて代わりはいくらでもいるから、ダメになったら交換すれば良いだけと。

そうであるならば、今回の「成功」を機に、紙面のデジタル化を、同じような体制でビジネスモデルにできるのでしょうか。

そこの会社は、まさに紙面のデジタル化を自社のサービスの一つとして打ち出しました。運良く大きなプロジェクトが一つ取れたようですが、同じスタッフはほとんど集まらず、新体制でもミスが続いて安定せず、結局継続できなかったようです。

成功とはどういう状態のことを言うのか、納品できたからといってそれをビジネスモデルと呼んで良いのか、そもそもビジネスモデルで一番重要な要素は何なのか・・・この時期になると、いろいろ思い出すプロジェクトでした。

2017年5月